発見と論文

Discoveries and Papers

2022.07.13

プラズマローゲンはGタンパク質共役型受容体(GPCR)21を活性化することによりNK細胞の標的細胞に対する溶解活性を高める

J Immunol 2022, 209:310-325

Plasmalogen-mediated activation of GPCR21 regulates cytolytic activity of NK cells against the target cells

シャミン・ホセイン、馬渡志郎、藤野武彦

要旨

高齢者は免疫反応が低下し、ウイルス感染やガンのリスクが高まることは広く知られているが、加齢に伴う免疫力低下のメカニズムはまだ十分に解明されていない。本研究では、高齢者で減少がみられるプラズマローゲン(特殊なリン脂質)が、細胞表面のGタンパク質共役受容体(GPCR)21を活性化してヒトNK細胞の溶解活性を著しく高めることを報告する。我々は、哺乳類に存在する受容体GPCR21の細胞外グリコシル化部位を特定し、それがプラズマローゲンによるNK細胞活性に非常に重要な役割を果たすことを明らかにした。プラズマローゲンとGPCR21間のシグナル伝達カスケードは、STAT5転写因子の活性化を介して、細胞の孔形成・溶解性タンパク質であるパーフォリン1の発現を誘発した。STAT5の阻害は、GPCR21介したNK細胞の標的ガン細胞に対する細胞溶解活性を無効にした。さらに、プラズマローゲンの経口投与はSCIDマウスのガン増殖を抑え、成体C57BL/6Jマウスのマウスサイトメガロウイルス(MCMV)全身拡散を抑制した。これらの結果から、プラズマローゲン-GPCR21シグナル伝達はNK細胞の機能維持に重要であり、このシグナル伝達カスケードの加齢による減少はヒトを含む哺乳類での免疫不全の要因の一つである可能性が示唆される。