発見と論文

Discoveries and Papers

2017.06.01

Lipids, 51(8), 997-1006, 2016

Lipids, 51(8), 997-1006, 2016

Measurement of Ether Phospholipids in Human Plasma with HPLC–ELSD and LC/ESI–MS After Hydrolysis of Plasma with Phospholipase A1
Mawatari, S., Hazeyama, S. & Fujino, T. 

Lipids, 51(8), 997-1006, 2016

論文の要旨

背景/ヒトの血漿にもプラズマローゲンは〈エーテルリン脂質〉は存在しているが、ヒト血漿のエーテル脂質は濃度が低いので、最近はタンデムマススペクトロメトリー(LC/MS/MS)が使用されている。しかし、LC/MS/MSは価格が高価で、しかもその維持管理も難しい。

方法/ホスホリパーゼA1(PLA1)を血清に作用させると他のリン脂質は分解されるがエーテルリン脂質とスフィンゴミエリン(SM)はそのまま残る。したがって、エーテルリン脂質はHPLC-ELSDのクロマトグラフィー上で、それぞれ独立したピークとして計測できる。そのうえHPLC-ELSDで使用した試料はそのままLC/ESI-MSでも分析できる。私どもはHPLC-ELSD法、およびLC/ESI-MS法を開発した。

結果/これらの方法でヒト血漿〈42人〉のエーテルリン脂質であるエタノラミンエーテルリン脂質とコリンエーテルリン脂質を測定したが、文献上のヒト血清のプラズマローゲン量とほぼ一致していた。そのうえ、ヒト血清をPLA1処理後さらに塩酸処理したところ、ヒト血漿のエーテルリン脂質にはプラズマローゲンだけではなくアルキル型エーテルリン脂質が存在していることがわかった。

結論/ヒトの血漿中のエーテルリン脂質を、現在では通常の機器であるHPLC-ELSD法での測定法を開発した。