The Japanese Plasmalogen Society
プラズマローゲン

[要旨]プラズマローゲン(Pls)の研究成果

藤野武彦 九州大学名誉教授を座長とした研究チームが行なった臨床試験などの研究成果。

  • プラズマローゲン(Pls)がアルツハイマー型認知症を改善することを世界で初めて証明。
  • プラズマローゲンが細胞新生を起こすことを発見。

これは、プラズマローゲンの驚くべき研究成果です。

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Pls研究の端緒「“脳疲労”理論」

脳指向性自己調整システム

プラズマローゲン(Pls)の研究は、藤野教授が1997年に発表した「“脳疲労”理論」に始まります。

「“脳疲労”理論」は、メタボリック症候群や糖尿病などの生活習慣病、うつ病などの現代病は、さまざまなストレスにより自律神経に異常をきたす、脳疲労が原因ではないかという学説です。
藤野教授はその脳疲労を起こさせない独自の解消法“BOOCS法(脳指向性自己調整システム)”を考案しました。

“BOOCS法”の基本三原則
  • 「たとえ健康に良いことでも、嫌であれば決してしない」
  • 「たとえ健康に悪いことでも、好きでたまらないか止められないことは、とりあえずそのまま続ける。決して禁止しない」
  • 「健康に良くて、しかも自分がとても好きなことを一つでもよいから始める」

この“BOOCS法”を21,626人の日本人労働者を対象に「実践する・しない」の2グループに分け15年間追跡調査。肥満度や中性脂肪が下がり病気の発症を予防できたことがわかりました。

そして15年後では

  • 「BOOCS法により全死亡率が半減」したことが判明しました。

この「“脳疲労”理論」は”アルツハイマー型認知症とプラズマローゲンの関係性”の追求へと発展します。

「脳疲労はメタボリック症候群、うつ病、パーキンソン病などを引き起こすと考えていました。
脳疲労が起こると結果として辿っていくコースの終末の一つがアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症が“脳疲労の流れ”で起こってくると考えればプラズマローゲンはアルツハイマー型認知症に有効だと確信を持ちました」(藤野教授)。

これが後に明らかになる脳細胞を守る“抗酸化作用”です。

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高純度のPlsを大量に抽出する技術を確立

脂質の分類

体内で情報伝達に関わる重要な物質“リン脂質” 。リン脂質が不足すると細胞が正常には働かなくなり、血管にコレステロールが溜まって、動脈硬化や糖尿病を引き起こす原因になります。

このリン脂質の一つがプラズマローゲン(Pls)。プラズマローゲンは哺乳動物の全ての組織に存在し、人体のリン脂質の約18%を占め、脳細胞の根源的な機能をコントロールしていると云われています。

アルツハイマー型認知症患者の脳や血清で、プラズマローゲンが減少していることがわかっています。また、“プラズマローゲンとアルツハイマー型認知症との強い相関関係”も確認されていましたが、以前は、検出の手間や費用がかかることと、大量に抽出する技術がなかったため、その研究は進んでいませんでした。

しかし2007年、馬渡博士がプラズマローゲンを簡単に検出する方法を発見。

「2日がかりだったものが、1時間に短縮された感じでしょうか」(馬渡博士)

そして、92%の高純度プラズマローゲンの大量抽出にも成功。時間とコストも抑えた簡便な抽出が可能となりました。

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Plsの作用とメカニズム

“DHA”と“EPA”を、結合された形で持つホタテ由来プラズマローゲン

プラズマローゲン(Pls)の役割は

  • シグナル伝達物質を細胞に供給するCarrier(キャリア)
  • 自分自身が参加物質に酸化されて、細胞を守る“抗酸化作用”
  • 炎症性物質の抑制

など脳細胞の機能や発現に深く関わるものであるとわかってきました。

これは藤野教授が1997年に発表した「“脳疲労”理論」のメカニズムそのもののことだと考えられます。

脳組織におけるプラズマローゲンの色々な機能

「脳が働いた瞬間に(酸化して)脳は疲れます。それをプラズマローゲンが身代わりをして(酸化されて)脳を守るのです」(藤野教授)

脳の酸化は脳疲労を引き起こし、さまざまな病気が発症するのです。

また、“ホタテ”のプラズマローゲンは、有益な不飽和脂肪酸“DHA”と“EPA”を、結合された形で持っています。これはホタテ・プラズマローゲンの優位性であり、脳神経細胞の作用活性化を促進・増強するものであると考えられます。

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動物実験結果(Plsの記憶学習の向上作用)

モリスの水迷路実験

アルツハイマー型認知症と強い相関関係を持つプラズマローゲン(Pls)。その関係性を明らかにする動物実験を行いました。

「モリスの水迷路」と呼ばれているもので、マウスをプールで泳がせ、水面下2cmに隠れている透明のステージにたどり着く実験です。その時間が短縮されるかで記憶力を見ます。その結果プラズマローゲンには記憶・学習を向上させる効果があることが証明されました。

そのメカニズムは、脳細胞の表面にある重要な物質が乗っている“リピッド・ラフト”と言われる場所に、プラズマローゲンが多く存在することで、“トラックB”を増やし、そのトラックBを受容体とする、記憶・学習に関係する物質“BDNF(脳由来神経栄養因子)”を導いて、記憶・学習力を活性化しているためと思われます。

アルツハイマー病など神経炎症を起こすと、トラックBが減少し、BDNFの作用発現が著しく低下します。プラズマローゲンは低下した神経細胞の機能を改善・向上させる役割をはたしていると考えられます。

プラズマローゲンを外部から投与した場合のメカニズム

さらに、プラズマローゲンがアルツハイマー型認知症の原因とされる“アミロイドβタンパク質”の蓄積を抑制する作用を持つことを発見しました。

「プラズマローゲンは中枢神経系では、重要な役割を果たしている可能性があります。
アルツハイマー病に限らず、うつ病も脳の神経炎症が起こっている結果であると、わかってきたので、プラズマローゲンは神経炎症系の疾患にも、効果を発揮する可能性があります」(片渕教授)

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アルツハイマー型認知症患者の臨床試験結果

海馬だけでなく、人間らしさや感情をコントロールする前頭前野にも効果

“DHA”と“EPA”を、結合された形で持っている“ホタテ・プラズマローゲン(Pls)”を食品化。人による経口投与の臨床試験を行い、認知機能テスト“MMSE”の変化をみました。

その結果、5割の患者さんで「顕著な改善」がみられ、悪化される患者さんは少なく、残りのほとんどは「現状維持」で、症状の悪化を食い止めたと評価することができます。

また、プラズマローゲンが記憶・学習をつかさどる“海馬”だけでなく、人間らしさや感情をコントロールする“前頭前野”にも短期間で著しい変化が見られています。

アルツハイマー型認知症と診断された88歳の女性は、プラズマローゲンを摂取して1ヶ月で、効果が見られ「本を読むようになった」「片付けをするようになった」とご家族も喜んでおられました。

また、幻視・うつ状態が特徴のレビー小体型認知症の81歳の女性は、プラズマローゲンを摂取して2週間で幻視が消失。研究チームを最も驚かすような改善を見せました。笑顔も出て、「気遣い」も戻ったのです。

「客観的なMMSEとそれ以外の行動評価の2つのどちらかが、全員良くなっています。
物忘れの人たちを元に戻すことは論理的・現実的に可能だということを確信しました」(藤野教授)

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“Plsが神経細胞を新生させる”世界初の発見

海馬歯状回の幼若な神経細胞が新生

世界初の発見。

  • プラズマローゲンは神経細胞を新生させる

炎症刺激で海馬の神経細胞が衰えたマウスに、プラズマローゲンを与えると、神経の新生が起こり正常なマウスに近くなりました。

プラズマローゲンの働き
  • 神経細胞を新生
  • アミロイドβの蓄積を抑制
  • 学習・記憶の向上
  • シナプス・神経細胞を増強

「プラズマローゲンはBDNF(脳由来神経栄養因子)を活性化して細胞新生を起こします。
つまり、壊れた細胞を良くするのではなく、新しいバトンタッチランナーを作ってくれる。
新しい細胞が生まれればアミロイドβで壊れた細胞を改善する必要もない。
細胞新生こそが(プラズマローゲンによる認知症の)新しい治療効果であると考えています」(藤野教授)

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Plsが持つ可能性/メッセージ

「プラズマローゲンの科学的研究は現時点で80点と考えています。80点でも応用することは十分に可能です。あと20点は学問的に興味のあることです。
免疫系や自律神経系、あるいはメタボリック系にどういう経路でつながっていくか?
飛び石的には(その効果を)確信しているが、具体的な“実線”にすること、これが20%。
現在、アルツハイマー型認知症以外にも、臨床研究および基礎研究で多くの研究者と手をつなぎ、具体的“実線”を目指しています」(藤野教授)

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