発見と論文

Discoveries and Papers

2020.03.04

Parkinson’s Disease 2020: 2671070, 2020

Parkinson’s Disease 2020: 2671070, 2020

Improvement of Blood Plasmalogens and Clinical Symptoms in Parkinson’s Disease by Oral Administration of Ether Phospholipids: A Preliminary Report


馬渡志郎、大原信司、谷脇予志秀、坪井義夫、丸山徹、藤野武彦

要旨

 パーキンソン病はアルツハイマー病に次いで2番目に多い脳の変性疾患である。世界的に高齢化社会に向かう中、パーキンソン病の患者数は今後、急速に増加していくことが予想される。パーキンソン病の主要症状である静止時振戦、運動緩慢、筋固縮、姿勢保持障害などの運動障害に対しては、L-DOPAなどの脳におけるドーパミン欠乏を補う薬剤が使用され、顕著な効果が認められるが、これらの薬剤も長期使用するとジスキネジーなどの薬剤性副作用が起こってくる。
 パーキンソン病には上記の運動障害に加えて、便秘などの自律神経症状、認知症、うつ病などの非運動症状も高頻度に認められる。これらの非運動症状は患者の日常生活に多分に悪影響をもたらすが、L-DOPAは非運動症状に対して効果がなく、有効な薬剤は存在しない。
 本研究では、パーキンソン病患者の抹消血液でプラズマローゲンの値が減少していたことから、ホタテ由来プラズマローゲンを、1mg/日の量で24週間経口投与を行った。その結果、血清および赤血球膜のプラズマローゲンが有意に増加し、いくつかの非運動症状も有意に改善するという効果が認められた。