発見と論文

Discoveries and Papers

2017.11.28

ホタテ・プラズマローゲンの中等度、重度アルツハイマー病への効果と血中濃度の変化

第36回 日本認知症学会 学術集会での発表内容

市丸みどり1)馬渡志郎2)、新福尚隆3)、安松聖高4)、若菜智香子5)、斉藤和之3)藤野武彦5)

1)BOOCSホリスティッククリニック東京2)レオロジー機能食品研究所3)BOOCSクリニック福岡4)福岡聖恵病院5)プラズマローゲン研究会

目的/我々は軽症アルツハイマー病(AD)を対象としたホタテ由来精製プラズマローゲン(Pls)1.0mg経口投与試験(二重盲検試験)で、記憶機能の改善と血中Pls濃度の有意な上昇が見られたことを報告した。今回、中等度、重度ADを対象にホタテ由来精製Plsを経口投与して、その有効性について検討した。

方法/中等度AD 52名(MMSE11~19点、男性14名、女性38名、平均年齢78.7±5.2歳)と重度AD 16名(MMSE10点以下、男性8名、女性8名、平均年齢78.1±5.9歳)の計68名を対象に、多施設においてPls 0.5㎎/日を3か月間投与する前後比較研究を行った。主要評価項目はMMSE、副次評価項目は、介護者評価、血漿及び赤血球膜エタノールアミン・プラズマローゲン濃度(PlsPE)とした。

結果/

  1. MMSEの変化:中等度ADでは、摂取前15.4±2.6点から摂取後18.0±4.7点へ有意に上昇した(p<0.001)。重度ADでは有意な上昇は見られなかった。
  2. 介護者評価:意欲、感情が中等度ADで53%、重度ADで28%改善した。
  3. 血中PlsPEの変化:血漿PlsPEは中等度AD、重度ADともに有意に上昇した(p<0.001、p<0.01)。赤血球膜PlsPEは中等度ADで有意に上昇した(p<0.01)。

考察/ホタテ由来精製PLsの経口摂取は、軽度ADと同様に、中等度ADでも認知機能改善効果をもたらすことを示唆している。