発見と論文

Discoveries and Papers

2017.06.05

Analytical Biochemistry 370 (2007) 54-59

Analytical Biochemistry 370 (2007) 54-59

Shiro Mawatari, Yumika Okuma, Takehiko Fujino: Separation of intact plasmalogens and all other phospholipids by a single run of high-performance liquid chromatography. Analytical Biochemistry 370 (2007) 54-59

論文の要旨

プラズマローゲンは、グリセロール骨格のsn-1位にビニルエーテル結合を有することで特徴づけられるグリセロリン脂質に特有のサブクラスであり、多くの哺乳類の組織の細胞膜中に高濃度で確認されている。しかし、プラズマローゲンを変質していないリン脂質として分離した例はこれまで報告されていない。本論文では、クロマトグラフィーを1回実行しただけで、変質していないエタノールアミンプラズマローゲン(pl-PEs)とコリンプラズマローゲン(pl-PCs)、および哺乳類の組織中に通常認められるその他リン脂質を分離できる高速液体クロマトグラフィー法について述べている。HPLC用ジオールカラム、および1%酢酸と0.08%トリエチルアミン含有のヘキサン/イソプロパノール/水系の勾配を利用して分離された物質を得た。HPLC法によって、ジアシル類似体からプラズマローゲンを変質する事なく分離することが可能となった。ヒドロペルオキシドを用いたヒト赤血球の過酸化の研究にも応用されている通り、HPLC法によって、pl-PEsは他のジアシル類似体と比較して、2倍近く酸化されやすいことが明らかとなった。